小説風カクテル記事録
バーテンダー 角 輝男
第二話 青い月に照らされて 後編 

第二話 青い月に照らされて 後編

輝男:お待たせ致しました。ブルームーンでございます。

ヒロシ:ブルームーン!?

ヒロシはゆっくりとショートグラスに口元を近づけた、、

・癒しのすみれ

ヒロシは口にその液体を少量含んだと同時に口内が熱くなる感覚を覚えた。

日頃、ウーロンハイや、カシスオレンジなどの度数の優しいお酒ばかりを飲んでいたヒロシにとっては、今まで経験のない感覚だった。
、、、けどすごく飲みやすい。
あと、、、花の香り、、!?

輝男:如何でございますか?

ヒロシ:これ絶対度数高いですよね!けど、すごく飲みやすくて、、あと何か花の香りがする様なしない様な、、

輝男:よくお気づきになりましたね。このブルームーンにはスミレのリキュール。当店ではパルフェタムールを使用しております。

ヒロシ:パ、パ、パルフィータミール?

聞き馴れないカタカナ言葉に呂律もうまく回らないヒロシ。その様子に笑みを浮かべながら輝男は説明を続ける。

輝男:まずブルームーンの使用材料から説明いたしますと、、

ヒロシ:25度!通りで、、けど、飲みやすい!さすがですね!
でも、どうしてこのカクテルを、、、

輝男:はい、先ほど皆既月食のお話をされておられましたので『月』繋がりという事で、、

ヒロシ:なるほどですね!
しかし何でブルームーンをいうカクテル名何でしょうか?
普通なら紫だからパープルムーンとか名付けちゃいそうですけど、、

輝男:確かにそうですね、しかしこのブルームーン、数年に一度起こるある現象を連想して名付けられているのです。

ヒロシ:ある現象ですか、、

輝男はまるで顔を少し上にあげ語り出した、、まるで月を見上げているかの様に、、、

・ロマンチストな角輝男

輝男:満月の周期はご存知でしょうか?

ヒロシ:そ〜ですね〜、たしか一ヶ月に一度ぐらいでしたよね。

輝男:左様でございますね。正確には『29.5日』と言われております。
ですが数年に一度、、、


ヒロシ:なんかロマンチックな由来ですね。このパルフィ、、なんとかはその青く照らされる月をイメージして使用されているのですね、、

輝男:パルフェタムールですね。
『青い月』というのは大気の様々な条件が重なり生み出される極めて稀な現象だそうです。
決して二度目の満月の際に青い月が現れるわけではないそうですが、それぐらい奇跡という事、イメージされたんだと思います。

ヒロシ:知らなかったなぁ、、是非一度でいいからそのブルームーンに照らされたいですね、、

輝男:皆既月食で外が赤い月で照らされるなら、店内では青い月で照らしてあげたい。そんなイメージで私も作っております。

ヒロシ:角さんってすごいロマンチストな方なんですね。

ヒロシはある事を思い出し、立て続けに話を続ける、、

ヒロシ:あっ、カクテルって花言葉みたいにカクテル言葉っていうのもあるんですよね。こんなロマンチックなカクテルなんだからきっと素敵な言葉なんだろうなぁ。

輝男:ふふふふ、、、

角輝男の笑みはさらに深みを増していく、、

・二つの意味、二つの恋模様

輝男:カクテル言葉は基本的に一つの意味合いで成り立っておりますが、このブルームーンに関しては少々異なるのです。

ヒロシ:、、意味が二つあるとかですか?

輝男:ご名答。しかもこの二つの意味、相反する意味がこめらているのです。
その言葉とは、、、

ヒロシ:両極端ですね〜。
仮にですよ、ある女性とBAR行きました、その女性がブルームーンを注文したら「ごめんなさい」的な隠れたメッセージを送られているという事ですか?

輝男:いえ、そのカクテル言葉自体ご存知でない方もお多いです。また、純粋にブルームーンが好きで飲まれている方もおられます。
必ずしもそういう意味合いにはなりませんのでご安心ください。

ヒロシ:ポジティブに捉えたら完全なる愛ですからね。複雑!!

輝男:カクテル言葉に惑わされずお互い飲みたいと思った好きなカクテルを飲む。それでいいんです。

ヒロシはそうですねといった表情で笑みを浮かべていると、「ピコーン」と通知を知らせる効果音が鳴った、、

ヒロシ:すみません、マナーモードにしてなくて、、あっ今日ドタキャンされた人から今からでも会える?って連絡が来ました!

輝男:それは良かったですね、、彼女様ですか?

ヒロシ:違いますよ〜、友達みたいな方ですよ。
じゃあ今から会ってくるのでお会計お願いします。
短い時間でしたけど色々勉強になりました。ありがとうございました!

輝男:とんでもございません、たまたまでございます。
またのご来店お待ちしております。

たまたまでございます」って角さんの口癖なんだろうなぁと思いながらもお会計を済ましヒロシは店を後にした。
雨はすっかり止んでおり東京は東京なりに精一杯の夜空を演出していた。
友達はどうやら仕事が忙しかったようで「ごめん」と謝りつつ、この間どうしてたのか訪ねてきたので、ヒロシはBAR行ってた事、角輝男という人物に出会った話をした。
友達は意外そうな表情で

友達:BARとか行くんだ!意外〜。

ヒロシは無意識に笑みを浮かべながら言っていた

ヒロシ:たまたまでございます

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